団塊の世代が75歳以上になる10年後、高齢者人口増2025年問題ということがいわれています。若い世代が高齢化社会をささえることができないから、今から対策をというのです。私も団塊の世代の一人ですから、自分の課題として受け止めています。しかし、すべて自己責任というわけにはいきません。国の社会保障制度がその根幹です。憲法25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。国は、高齢者いじめの医療・介護の大改悪をすすめようとしています。それは、介護1・2の方の生活介助や福祉用具の介護保険適用除外、利用料増、医療費の窓口負担増など、高齢者いじめといっても過言ではありません。
熟年者支援特別委員会では、9月9日、東葛西7丁目に今年の4月に開所した「わとなーる葛西」と、6月に開所したサービス付き高齢者向け住宅(通称・サ高住)「さくらレジデンス篠崎」の視察を行いました。どちらも施設が新しく、今後の高齢者対策として注目される施設です。
「わとなーる葛西」は各階に浴槽がありましたが、重度の方は一階にある機械式のお風呂場を利用します。リフト式のほかに、バスタブの一面が開閉式になっていてお湯を注入するものもありました。入浴は利用者にとって大事なことです。施設設備の工夫は日進月歩ですね。(この開閉式のバスタブは「さくらレジデンス篠崎」にもありました)「わとなーる」はまだ全員入所していません。特養ホーム89名、シュートスティ11名、軽費老人ホーム12名の施設です。施設として受け入れ状況を判断しながら満室にしていく方向です。また、認知症の方の受け入れについては、特にフロアーを作るのではなく、自然に入所者同志が見合っていく方向。施設内の文化的な取り組みは、手芸や地域の盆踊り、保育所・学校などとの交流をやっていきたいとのことでした。施設長は、「神奈川県で起こった障がい者施設の事件は他人ごとではない。24時間の施設のため、いつもオープン。女性が多職場であることなど、連絡網の整備をしてほしい。入所者の保護にもつながるため」と話されました。新規の施設の大変さがわかる視察となりました。
「さくらレジデンス篠崎」は、24時間365日の見守りサービスが目玉で、サービス費は一人月3万円。毎日の見守りはうれしいですが、費用がかさみます。この写真はモデルケースです。東京さくら病院との連携もあり、安心できる内容ですが、2人部屋では、3食の食事費用も含めて約30万円(部屋代12万、共益費2万4千、サービス費2人で6万円、食費9万)の費用です。部屋はすべて、風呂・トイレ・台所完備で民間アパートと同じようでした。定員は32名で今のところ10人の入居でした。ゆくゆくは介護保険も利用すれば、有料老人ホームと変わらない費用負担ではないでしょうか。安心して住み続けられるメリットは大きいですが、費用負担面で入りたくても入れないという状況ではないでしょうか。
区内の高齢者向けの住宅7か所(葛西地区は南葛西4丁目・48戸)は、区からの補助金(所得により金額が異なる)がでています。以前、議会で大橋が取り上げたときは、他の区と比べて支給要件が厳しいため、緩和するように求めましたが残念ながら変わっていません。そして、今度は、補助金なしのサービス付き高齢者向け住宅(通称サ高住)が区内3か所目ですから、もっと低家賃で見守りサービスが受けられるような住宅を作れないでしょうか。区にも要請していきます。