1月6日のしんぶん赤旗によれば、米国の新聞に昨年11月に掲載された日本軍「慰安婦」問題を否定する意見広告に、安倍晋三首相と4人の閣僚が賛同者として名前を連ねていることがわかりました。安倍首相は、「慰安婦」問題で政府として「おわびと反省」を表明した河野官房長官談話(1993年)を見直しことを示唆しており、そのこととあわせて、内外から強い批判が起こることは避けられません。
意見広告は、米ニュージャージー州地元紙「スターレッジャー」2012年11月4日付で掲載されました。「女性がその意志に反して日本軍に売春を強要されていたとする歴史的文書は…発見されていない」「「(慰安婦は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などとのべ、強制性と日本政府の責任を否定する主張をしています。広告の主張は、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と認定した河野談話の内容を否定するものです。
広告は、ジャーナリストの櫻井よしこ氏らでつくる「歴史事実委員会」名で出されています。同委員会は、07年6月にも米紙「ワシントンポスト」に同じ内容の意見広告をだしました。これには、国際的な批判がひろがり、米国政府も強い不快感を示しました。当時、米下院では、「慰安婦」問題で日本政府に公式の謝罪を要求する決議案が採択され、その後7つの国・地域で同様の決議が採択されています。
安倍首相が昨年末、産経新聞のインタビュー記事で、侵略戦争と植民地支配に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆したことについて、韓国4紙は元日付で「極右的な歴史観」に警戒を示しています。
今でも、日本軍「慰安婦」問題は解決していません。それを、安倍首相が、「旧日本軍の強制はなかった」「河野談話を見直す」とすれば、厳しい批判をうけることは当然です。高齢となった被害者への謝罪と補償はまったなしです。安倍首相は、広告掲載賛同者を取り消し、歴史の事実に向き合うべきです。