道徳教育

1月20日、清新第一中学校の道徳教育の授業発表に伺いました。すべてのクラスが授業公開し、その後の体育館での研究発表にはたくさんの方が参加されていました。区内の小中学校から1名は先生方が参加されているとのことでした。議員は、私と文教委員会委員長の2名でした。

道徳を特別の教科「道徳」とする学習指導要領の一部改訂が平成27年3月27日に公示されました。「道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行うこと」としており、教科書を作成し評価をするとしています。文科省は、数値で評価して他の子ども達と比較したり入試で活用したりすることはしませんといっています。しかし、現場からは、「評価を気にするあまり先生の気に入るような発言や振る舞いをする子が増えるのではないか」「道徳を教え込んだところでいじめがなくなるとは思えない」など疑問視視する声は多くあります。現在は移行期間として位置づけられ、平成31年から中学校での完全実施とされています。

清新第一中学校の研究テーマは「豊かな人間性を持ち、自主的、自律的に判断し、行動する生徒の育成ー道徳授業を中心にー」とありました。IMG_2084各クラスをまわりながら、授業の雰囲気をみますと、生徒たちが、グループで話し合い、意見を発表している様子がよくわかりました。それぞれ自分ならどう考えるかどう行動するか考えさせる授業であったと思います。話し合いの時には、「机をひし形にして」という先生の指示に、4人の机をひし形にしていました。道徳は一人一人が自分の考えを持つことからはじまります。それを大事にしていたと思います。先生方の公開授業の準備は大変だったことでしょう。ありがとうございました。

このように、道徳の授業については、現場での工夫は重ねていかれると思いますが、教科としての「道徳」となると心配がでてきます。評価が伴い入試と連動するとなれば、生徒が、自分の意見を述べることの是非を考えるのではないでしょうか。多様な価値観を認め合うとしながらも、授業で求められる徳目や規範に沿って活発に好ましい態度を演じることが子どもたちに強制される事態が生まれないでしょうか。

最も危険なのは、政府の指定する道徳的価値に沿って道徳教育が行われる仕組みが出現することです。学習指導要領に示された道徳の項目には、人権や民主主義、平和、生存権、福祉の権利、労働権、表現の自由などの憲法の中核を占める価値が見当たりません。道徳が、教育内容のもとになる科学がないままに、国家が一方的に教育内容を決定管理する事態となれば重大です。

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