過労自殺、この言葉を聞いてしばらくたちますが、なくなるどころか、増え続けています。日本共産党は、働きすぎをなくすために、ブラック企業根絶法案、残業規制法案を提出していますが、なかなか審議されないのが残念です。死ぬまで働くという企業をなくしたい!働くことは権利でもあります。人間らしく働くためのルールを一日も早くつくりたいです。なによりも、子どもたちのために。
11月9日に、厚労省が主催した「過労死など防止推進シンポ」で4人の遺族の方が発言されました。東北大学の准教授は薬学の研究をしていましたが、2012年に48歳で過労自殺した妻の訴えは、「『働くことの意味』をすべての人に考えてほしい。私は思いたい。私たちの家族は無駄死にではなかったと。彼らはその命をかけて、働くことの意味を日本で生きるすべての人にとうているのだと。その問いに答えるのが残された私たちの、そして、日本で生きるために。働くすべての人の責任です」と。東北大学はこの過労自殺からブラック企業大賞にノミネートされたのです。この後も3000人の非常勤職員を解雇する動きに大きな批判が巻き起こりました。
東京労働局などは、11月7日、違法な長時間労働をさせた疑いが強まったとして、労働基準法違反の疑いで、電通本社と関西、中部、京都の3支社を強制捜査しました。違反が確認されれば、法人としての同社と担当者を書類送検する方針です。昨年12月に新入社員の高橋まつりさんの過労自殺が労災と認定されました。電通は1991年にも入社二年目の若手社員の過労自殺が認定されています。高橋さんの職場への入退館記録では、1か月130時間を越える残業がありましたが、自己申告では70時間内に収められており、過少申告が蔓延していたとみられます。日本共産党は、2000年にサービス残業防止を要求し、厚労省はサービス残業防止に向けた「4.6通達」を出し、企業に労働時間の適正な把握を求めています。
電通で過労自殺した高橋まつりさんの母、幸美さんは、11月9日のシンポジウムで、まつりさんが、昨年10月、「今週10時間しか寝ていない、会社やめたい」と話し、1991年の社員の自殺記事に触れ、「こうなりそう」と漏らしていたことを紹介しました。自殺直前の12月、「大好きで大切な母さん、さようならありがとう。人生も仕事もすべて辛いです。お母さん自分を責めないでね。最高のお母さんだから」とメールが送られてきたことを明かしました。幸美さんは、「命より大切な仕事はありません。社員を犠牲にして優良な企業といえるのか。経営者は大切な人の命を預かっているという責任をもって本気で改革に取り組んでほしい」と強調しました。そして、政府に対して、「ワークシェアや36協定の改革、インターバル制度の導入を望みます。国民の命を犠牲にした経済成長第一主義ではなく、国民の大切な命を守る日本に変えてくれることを望みます」と訴えました。
遺族・弁護士の協力で全国43か所で開かれます。(しんぶん赤旗から抜粋)
このシンポジウムで、高橋さんの遺族代理人を務める川人弁護士も講演し、自殺に至るまでの経緯を説明。川人弁護士は、高橋さんが死に至った3つの理由を指摘。①深夜までの長時間労働の過労と睡眠障害、②上司による適切な労務管理が行われておらず、パワハラと評価して差し支えないような言動があった、③会社全体として労務管理システムがきちっと機能していなかった。なかでも、3番目の「会社全体としての労務管理」に言及。「具体的に言えば、36協定で70時間とされていた残業時間を大幅にうわまわっていた」と批判した。「働く者の健康なくしては、健全な経営は成立しないこと、強く申し上げたい」と講演を締めくくった。